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【おすすめ本:書評】 黄砂の籠城 (上下巻)

著者:松岡 圭祐
出版社:講談社文庫(2017/4/14)
価格:各704円

POINT:
義和団が暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲するなか、足並み揃わぬ列強11ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。

最初にこの本を目にしたのは、書店の本棚でした。
松岡氏の本は『千里眼』シリーズなどエンタテイメント・ミステリーの本をよく読んでいたので、あの作家が歴史小説を書いたの?という驚きで買いました。

今こそ読むべき、日本の快挙! 圧倒的歴史エンタテインメント。
維新からわずか30年で「国際法を守る規範の筆頭」と、世界から賞賛された日本と日本人の姿を鮮やかに描いている。(元防衛大臣 石破茂)

誇らかに叫ぶジャパン・ブランド!
日本人を鼓舞する必読の一冊。(文芸評論家 縄田一男)

松岡圭祐氏は『千里眼』『万能鑑定士Q』『探偵の探偵』『水鏡推理』と、立て続けにエンタテイメント・ミステリーのシリーズをヒットさせている、現代日本を代表する作家です。

『黄砂の籠城』は松岡氏によるはじめての歴史小説で、中国で1900年に起きた「義和団事件」を舞台にして、列強11か国を主導して北京の公使館区域に籠城し、約4000人の籠城した人々を守り切った実在の日本人の自己犠牲の精神や勇気と叡智を描いています。

アジアの20世紀の転換点となった義和団事件の際、列強と清国が本格的に対抗し、北京滞在の外国人は清朝に包囲され、2ヵ月に及ぶ籠城戦を余儀なくされましたが、実際に日本人が中心となって活躍したのです。
世界で初めて日本人が認められた出来事であるにもかかわらず、戦後も適切な評価がない事件について、松岡氏は手に汗握るエンタテインメント作品として我々の手に届けてくれたのです。

義和団事件とは?
日清戦争後、清国白蓮教系の秘密結社の義和拳教徒が武装集団・義和団を組織し、1899年、キリスト教および列国の中国侵略に対抗して山東省で蜂起した。
1900年北京に入城し各国公使館区域を包囲したため日・英・米・露・独・仏・伊・襖などの列強諸国は連合軍で対抗した。(日本では北清事変とも呼ばれる。)

義和団の活動が活発になり、不穏な空気が漂う北京へ新たな日本公使館付駐在武官として、柴五郎(陸軍中佐)が赴任します。しかし、当初の間は柴中佐は状況把握のため発言を控えていたため弱腰に見え、日本は列強の一員ではあったものの各国公使から軽く扱われていました。
義和団が陸の孤島になった北京に押し寄せると事態は急変、真の力を見せた柴中佐が実質的な指揮官となり、20万人の義和団・清国軍と、列強連合軍500人の籠城戦が繰り広げられることになるのです。

柴中佐は、英語はもちろん、フランス語にも中国語にも精通していたと言われています。
しかし、彼が各国の尊敬を集めたのは、語学力ではなく公の精神を大切にし、極めて的確な戦略・戦術を駆使し、献身的に戦い続ける姿勢だったのです。

柴 五郎とは?
明治維新の際、一方的に朝敵との汚名を着せられた会津藩に生まれ、戊辰戦争を生き延びるものの、下北半島の過疎地に移送させられ寒さと飢えに苦しむ少年時代を送る。
明治33年(西暦1900年)の義和団事件勃発時は陸軍派遣の新任北京駐在武官であった。
柴五郎について気になる方は、『ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書』の書評を確認ください。

松岡氏が書いているように、外国人が日本人の気真面目さを称える描写は、当時籠城に参加していた人々の日記に基づくもので、物語上の誇張ではないとのことです。

この物語で作者が表現したかったことは、日本人の誇りでしょう。
先の見えない籠城戦において柴中佐と日本兵が見せた献身的な戦いぶりは当時、世界的な賞賛を浴びました。
イギリス公使のクロード・マクドナルドも感銘を受け、これが後の日英同盟締結に繋がる要因になったといわれています。

–初代駐日イギリス公使マクドナルドの言葉–

日本人こそ最高の勇気と不屈の闘志、類稀なる知性と行動力をしめした、素晴らしき英雄たちである。
彼らのそうした民族的本質は国際社会の賞賛に値するものであり、今後世界において重要な役割を担うと確信している。
とりわけ日本の指揮官だった柴五郎陸軍砲兵中佐の冷静沈着にして頭脳明晰なリーダーシップ、彼に率いられた日本の兵士らの忠誠心と勇敢さ、礼儀正しさは特筆に値する。十一か国のなかで、日本は真の意味での規範であり筆頭であった。
私は日本人に対し、ここに深い敬意をしめすものである。

歴史小説に関心のない方にも、読みやすい1冊だと思います。


参考

目次:(番号のみ)
黄砂の籠城 上
黄砂の籠城 下

著者:松岡 圭祐
1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーになる。代表作の『千里眼』シリーズ(大藪春彦賞候補作)と『万能鑑定士Q』シリーズを合わせると累計1000万部を優に超える人気作家。『万能鑑定士Q』シリーズは2014年に綾瀬はるか主演で映画化され、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞した。2017年には第2回吉川英治文庫賞候補作となる。累計100万部を超える『探偵の探偵』シリーズは北川景子主演によりテレビドラマ化された。2016年、『万能鑑定士Q』『探偵の探偵』両シリーズのクロスオーバー作品『探偵の鑑定』(1・2)、そして『万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉』を講談社文庫より刊行。著書には他に、『水鏡推理』シリーズ(講談社文庫)、『ジェームズ・ボンドは来ない』『ミッキーマウスの憂鬱』などがある。

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